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2022.07.22
作家 田島享央己 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.2
独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、ポップでコミカルな動物像を造り続ける作家の田島享央己さんです。
作家 野原邦彦 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.1
Q.01作家(主に彫刻分野)を目指したきっかけは?
田島家は代々続く仏師の家系だったので、自然の成り行きだと思います。
小さい頃から父のアトリエに入り浸って粘土や木で何かを作り、絵を描いて過ごしました。
考えてみると現在も全く同じ行動をしているのでゾッとします。
Q.02制作中によく視聴しているものは何ですか?
主にラジオを聴きます。
伊集院光の深夜の馬鹿力、東京ポッド許可局、爆笑問題カーボーイ、 佐久間宣行のANN、問わず語りの神田伯山、オードリーのANN、エレ片のケツビ!、高田文夫のラジオビバリー昼ズ、米粒写経の談話室、 角田龍平の蛤御門のヘン、アンガールズのジャンピン、髭男爵 山田ルイ53世のルネッサンスラジオ、トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画、小籔・笑い飯の土020、等々。
Q.03アトリエの一番のこだわりは?
父のアトリエをそのまま受け継いで使っているだけなのでこだわりは無いです。自分が新たに建てるとしたらシンプルなホワイトキューブにすると思います。
制作道具の他にも、お父様の作品もたくさん置かれているアトリエ。
Q.04 自慢の制作道具を教えてください
千代鶴是秀、初代小信、齊藤和芳作の左小信、 相田浩樹の玄能、刀鍛冶山下浩郎作『のら』の鑿、土田昇作『不一』の鑿
右側の鑿は、田島家で100年以上使い続けられてい千代鶴是秀の浅丸鑿。新しいものと比べると使い込み具合が一目瞭然。
自慢の制作道具が一堂に。中には自作のマレットもあり、道具愛が満載!
「牛乳を注ぐクマ」
税込:330,000円
作品詳細はこちら
Q.05 制作中にイヤになる瞬間は?
制作中はずっとしみじみとした楽しさを感じていますので嫌になる事は無いです。自らの脳が分泌する麻薬にドップリと浸かるので、上手くいってない時も終始愉快な気分です。
Q.06 作品が完成した時の自分へのご褒美は?
特に頑張ってやっていないので『自分へのご褒美』というのはした事は無いです。完成した時は次の作品が作れるので胸が躍ります。
Q.07 職業病だなぁと思うことは?
疲れ目、肩こり、腰痛、腱鞘炎、運動不足
Q.08 立体作品と平面作品とで決定的に違うことは?
少しだけなら物語性を足しても酷くならないのが平面かなぁと思います。
立体の時にそれをやると、作品が『クサく』なるので、なるべく限定的な状況説明や物語性が無いように心掛けています。
Q.09 作品に対する感想で、今まで言われて嬉しかった言葉は何ですか?
感想はどんなものでも本当に嬉しいです。
千人いたら千通りの解釈や感想が出ます様にと作っていますので。
Q.10 嫉妬してしまう作家や作品は?(物故作家でも現役でも)
嫉妬はしませんが、いつも見上げている作家や作品はたくさんあります。
書き切れませんが、ごく一部。
百済観音、無着像、日向薬師宝城坊薬師三尊像、鈴木実、ブルーノ・ウォルパス、運慶、ピカソ、舟越保武、ブグロー、円空、バルテュス、佐藤忠良、ベラスケス、ロダン、吉田芳夫、マリーニ、朝倉文夫、マンズー、ポンポン、マイヨール、ファッツィーニ、モディリアーニ、ブールデル、ジットマン、グレコ、ムーア、クロチェッティー、高村光太郎、ミケランジェロ、佐藤朝山、デスピオ、 舟越桂、熊谷守一、ベーコン、ブュッフェ、メッシーナ、ヴァンジ、堀江尚志、リーメンシュナイダー等々
Q.11 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
書き切れませんが、ごく一部。
ザ・フー、立川談志、ビートルズ、宮沢賢治、JB、ローリング・ストーンズ、寺山修司、大滝詠一、北の国から、古今亭志ん生、佐藤忠良、 白土三平、藤子不二雄、舟越保武、ロッキー、みうらじゅん、舟越桂、古谷三敏、遠藤賢司、 プロレススーパースター列伝、種田山頭火、吉本新喜劇 、チャールズ・ブコウスキー、西岡常一、清水義範、ダウンタウン、鬼平犯科帳、室生犀星、赤塚不二夫、ひょうきん族、忌野清志郎、藤山直美、はっぴいえんど、車寅次郎 、畑正憲、漫☆画太郎、曽我部恵一、西岸良平、カルティエ・ブレッソン、手塚治虫、ドリフターズ、東京イエローページ、竹中直人の恋のバカンス、ボブ・ディラン、広沢虎造、武者小路実篤、串田孫一、アントニオ猪木、荒木経惟、チャップリン、中島らも、遠藤周作、ラングストン・ヒューズ、秋本治、細野晴臣、マコンデ族、太宰治、等々
Q.12 好きなお笑いは?(芸人に限らず、ギャグ漫画でもコメディ映画でも可)
立川談志、横山ホットブラザーズ、松鶴家千とせ、夢路いとし・喜味こいし、男はつらいよ、古今亭志ん生、ローカル岡、三遊亭圓生、昭和のいる・こいる、広沢虎造、ゴッドタン、あした順子・ひろし、8代目三笑亭可楽、松鶴家千代若・千代菊、ダウンタウン、春日三球・照代、5代目柳家小さん、昔昔亭桃太郎、お笑い向上委員会、ケーシー高峰、 太田屋元九郎、Mr.ビーン、ビートたけし、3代目三遊亭金馬、オードリー、ミスター梅介、ショパン猪狩、中田ダイマル・ラケット、柳家喜多八、志村けん、8代目桂文楽、ペペ桜井、三遊亭円丈、綾小路きみまろ、獅子てんや・瀬戸わんや、古今亭志ん朝、吉本新喜劇、Mr.BOO、等々。
Q.13 自分を動物に例えると何ですか?
「汚ったないマンチカン」と妻に言われます。
Q.14 あえて選ぶとしたら、個性がもっとも出る身体のパーツってどこだと思いますか?
どこにでも居る量産型おじさんの典型ですので…。
Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
定職に就けずにフーテン暮らし。 禿げて太って最後は孤独死。
田島さんが考える平面作品と立体作品の違いには、目からウロコが落ちました。確かに、ギャグ漫画では面白かったものが、実写化したらつまらなくなる、というのはよくあります。制作に関する質問への回答から、田島さんが制作中楽しくて楽しくて仕方がないという感じが伝わってきました。その楽しさが、作品に滲み出て、観る人たちを楽しませているのでしょう。次の作品を作れるのが喜びというのは、彫刻家はまさに天職ですね。「禿げて太って最後は孤独死。」のほうの世界線でなくて、本当に良かったです。(とに〜談)
「饅頭を二つに割る蛸」
税込:330,000円
作品詳細はこちら
Information
今後の展示スケジュール一覧
SIGNS OF A NEW CULTURE vol.16
■会期
2023年8月10日(木)→8月16日(水) ※最終日は18時閉場
※一部作品は店頭限定販売となりますのでご了承ください。
※一部作品は8月30日(水)正午までWEB抽選いたします。
■会場
Artglorieux GALLERY OF TOKYO
東京都中央区銀座六丁目10番1号 GINZA SIX 5F
※GINZA SIX 1F交詢社通り側ウィンドウにも作品展示がございます。
■入場
無料
ARTIST
田島享央己
アーティスト
gallery UG 専属
2000年 愛知県立芸術大学美術学部彫刻科卒業
ニュートラルな立ち姿の2頭身アチャラカ作品で人気を博している。最近では木彫だけでなく、平面作品も力を入れて制作。木彫作品からも伺える色彩感覚は、平面作品にも発揮され、非常に高い評価を得ている。
2020年にはNYで個展が開催されるなど、日本に留まらず、海外でも人気が高まっている。
2022年3月には大丸東京店1階イベントスペースにて個展が開催され、大変盛況であった。
著書:「シドロモドロ工作所のはじめてのお彫刻教室」河出書房新社
DOORS
アートテラー・とに~
アートテラー
1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)
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