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- 日・台の音楽シーンをつなぐ人・寺尾ブッタに聞く、台湾を感じるアート、漫画、音楽 / 連載「あの街のアートとカルチャー」Vol.4
ESSAY
2023.04.19
日・台の音楽シーンをつなぐ人・寺尾ブッタに聞く、台湾を感じるアート、漫画、音楽 / 連載「あの街のアートとカルチャー」Vol.4
Design / Hiroki IIMURA
最近、面白かった展示は? 注目のアーティストは? どんなカルチャーに触れて感動した? さまざまな場所で生活しながら、新しい文化を探す人たちに問いかける連載「あの街のアートとカルチャー」。
今回教えてくれるのは台湾と日本に拠点を構えるライブハウス〈月見ル君想フ〉を運営し、音楽レーベル『BIG ROMANTIC RECORDS』を主宰する寺尾ブッタさん。日本と台湾を行き来する中で、オススメの台湾アーティストやスポットについて教えてもらった。
Q1
最近、観た展示は?
A1
CHILI CHILI 酒場 in 台北
イベントフライヤー。CHILI CHILI 酒場は日本でも定期的に開催している
「(自分ごとで恐縮なのですが)2月に高円寺のネグラカレーさんのpopupイベントを〈台北月見ル君想フ本店〉で行いまして、それに併せて、日本と台湾からいろんなカルチャーに精通した出店者さんやアーティストが参加するマーケットイベントも行いました。その一環として、〈達造園〉という造園業の方も参加されることになって、〈台北月見ル君想フ本店〉のお店の前に庭園をイベント期間中に作りあげるというプロジェクトが並行して行われました。結果、日本と台湾の要素をセッション的に組み合わせた、しかも非常に凛として美しい庭園が店前に出現しました。一見の価値ありなので、お近くにお立ち寄りの際には是非見にいらしてください」
Q2
最近、注目のアーティストは?
A2
petermann
昨年末にリリースされたイルカポリス『夏とMoonlight Shines!』ジャケットデザインを担当
「台湾の漫画家で、イルカポリスという人気バンドのビジュアルを一手に手掛けるなど音楽界隈との繋がりが濃いイラストレーターでもあります。彼女独特のファンタジーな世界観が面白く、ハマります。日本語版の漫画も出ているので是非チェックを!」
元シャムキャッツの夏目知幸のソロプロジェクト「Summer Eye」と台湾のバンド「DSPS」のボーカル・エイミーのスプリットEP『BLA BLA SONG』のイラストも担当
昨年7月に日本版をリリースした短編漫画集『BLA BLA SONG』のカバーイラスト
petermann
Instagramはこちら
Q3
最近、お気に入りのスポットは?
A3
オルタナティブスペース〈半路咖啡〉
ライブや展示なども頻繁に行われる〈半路珈琲〉
「台湾でもコロナ前にけっこう色んなタイプのオルタナティブスペースが増えてきた印象でした。長く続いたコロナで一旦その傾向が落ち着きましたが、これからまた色々出てくるのだと思います。都市の中に隙間があるのが台北だけでなく台湾全体の最大の魅力の一つでもあると自分は思っていて、オルタナティブなことをやる余地がそこかしこにあると思います。ただその活動を継続していくことこそが難しく、オルタナティブスペースは短命が必然とされている中で、この〈半路咖啡〉は10年近く台北のオルタナティブの象徴であり続けているのです。その他には、〈white rabit records〉〈PAR STORE〉〈台北月見ル君想フ〉などでも台北の日常となったオルタナティブを感じられると思います」
〈半路咖啡〉
住所:台北市大安區羅斯福路三段269巷51弄9號
facebookはこちら
Q4
最近、感動した作品は?
A4
その1:高 妍『緑の歌 - 収集群風 - 』(上下巻)
イラストレーターで漫画家の高 妍さんの単行本『緑の歌 - 収集群風 - 』(KADOKAWA/上下巻)。台湾人の少女・緑(リュ)はバンド「はっぴいえんど」に衝撃を受けて物語は動き出す
「日本で読むと台湾の湿度を感じるし、台湾で読むと登場人物達のカルチャーへの憧れや思いがリアルに伝わってくる。奥深い作品です。作品中に自分の経営する〈台北月見ル君想フ〉もちょこちょこ出てきて、もはや他人事ではない感じなのですが、作品に出てくる台北のスポットをいくつか巡っていくのも良い体験になると思います」
Instagram:_gao_yan
その2:台湾バンド「deca joins」のエンボス加工デザインのツアーポスター
deca joinsのツアーポスター
「彼らのビジュアルデザイン、グッズなどは全てレーベルスタッフがデザインから製作までを請け負っているのでこだわりが随所に効いています。ツアーポスターをここまでこだわって作り込むのはなかなかないですね。実際飛ぶように売れてました」
Q5
新生活に聴きたくなるオススメの一曲は?
A5
Leo王「長大十八歲」
「今やラッパーとして大成功をしているLeo王が自身の経験も踏まえて18歳を迎える若者に向けたエールを歌った曲です。夢や希望や悩みに満ち溢れた若者に、言い訳なんていくらでもできるから自分が今やりたい事をやろうぜ、と語りかけています」
Q6
次に観たい展示は?
A6
ギャラリー専門スペース〈衛星〉
〈衛星〉で開催された台湾のレコードコレクター小龍の POP UP SHOP「Bye Bye Records」
「〈Mangasick〉という台湾のサブカル界をリードするお店があって、彼らが新しくオープンしたギャラリー専門スペース〈衛星〉では日本と台湾のエッジの効いたイラストレーターの展示が行われています。時間を見つけてそこの展示に遊びに行きたいと思っています」
中古のアンティーク プリントの専門店〈OZZ〉のPOP UP SHOP「East to East」
DOORS
寺尾ブッタ
Big Romantic Entertainment代表
BIG ROMANTIC ENTERTAINMENT代表。 東京青山、台北のライヴハウス〈月見ル君想フ〉を運営。日中台間のライヴの企画・サポートのほか、音楽レーベル『BIG ROMANTIC RECORDS』も運営。日本、台湾でのプロモーター業、WEBサイト上でアジアの音楽・文化情報を発信。 2020年7月に下北沢にオープンした「大浪漫商店」は、レーベルグッズの展示販売の他に、台湾ソウルフード「魯肉飯」専門スタンドとして営業。台湾のインディーズカルチャーを最新の衣食酒と共に紹介している。
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