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2023.08.25
「韓国在住の日本人アーティストのアトリエを訪ねて」 / 前田エマの“アンニョン”韓国アート Vol.5
この連載はモデル・前田エマが留学中の「韓国」から綴るアートやカルチャーにまつわるエッセイです。小説やエッセイの執筆でも活躍し、国内外の美術大学で学んだ経歴を持つ前田が、現地の美術館やギャラリー、オルタナティブスペース、ブックストア、アトリエに訪れて受け取った熱を届けます。
今回は前田の大学時代からの友人で韓国在住のアーティスト・堀越宏太さんのアトリエへ。韓国のアートシーンやアーティスト活動をする上での日本とのギャップなど、素朴な疑問をぶつけてきました。
今回は韓国・ソウルで活動するアーティスト、堀越宏太さんへのインタビューを掲載する。
彼は、大学時代のクラスメートだ。
彼が韓国に渡り生活を始めたのは、2020年、春。
その頃、日本ではコロナによる第一回目の緊急事態宣言が出された。
それは、ちょうど私が韓国のカルチャーに興味を持ち始めた頃と重なる。
彼は私のように韓国に特別な関心があって来たわけではない。
必然と偶然が重なり、たまたま韓国に来ることになった。
そんな彼がこの数年、韓国で暮らし、絵を描き、働き、感じたことを話してもらった。
彼は韓国で、アーティストをしながら、美術塾の講師と、日本語講師として働いてきた。
堀越宏太
アーティスト
1991年長野生まれ。2017年東京造形大学大学院を修了。2020年から韓国に渡り作家として活動。現在は日本語教師と画家を行き来しながら制作中。韓国で2022年に開催した展覧会として、「ドライブ」(Gallery AnQ/韓国 水原)、「REFLECTION 」(selahs gallery/韓国 釜山)、「Look Back」(www space/韓国 ソウル)。
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Q1:韓国のアートシーンについて教えて
左は「ドライブ」657×532mm oil on canvas (2022)、右は「寝起」801×609mm oil on canvas (2021)
前田:今回は韓国のアートシーンについていろいろ聞きたくて。まずは、ギャラリーについての印象を教えて欲しい。
堀越:韓国で展示を回りながら感じたのは、ギャラリーっぽくないギャラリーが多いこと。六本木とか天王洲みたいにコマーシャルギャラリーがまとまってるエリアもあるけど、商店街の中とか民家の隣に急にギャラリーがあって、人がなぜか集まってる。実際に自分が初めて韓国で展示した場所もそうだったけど、そういう場所は若者が立ち上げて作っていることが多いように感じる。それは別に、生活と身近なところに美術と関わる場を作るんだ!みたいな優しくて前向きな理由だけではなくて、ソウルの土地とか物件の値段の高さとも関わってると思うけど、結果的に入りやすかったり、開かれた雰囲気はある。
前田:昨年はアジアで初めてアートフェア「FRIEZE」が開催されたり、K-popアーティストたちがアートに熱心だったりして、ここ数年、韓国のアートは若い人を中心に盛り上がっている印象があるけれど、どう?
堀越:「FRIEZE」と「Kiaf Seoul」(韓国国際アートフェア)には、若い人が多く来ている。実際に若者が作品を買うことは多くあるみたいで、韓国の芸能人とかアイドルが興味を持ってコレクションしているから、そこに続きやすいのかも。企業が作品を所有することも多いし、投資目的でもあるかなと。
あとは若い作家だったら、自分で出版社を立ち上げる人もいて、そこで自分の作品集とか写真集を出す作家も多い。ギャラリーみたいな空間を持って他の作家を紹介したりイベントを企画する人もいる。でもそれは特別なことではなくて、普通のことっていう認識があるかな。
前田:こちらへ来て驚いたことなどがあれば教えて欲しい。
堀越:驚いたことは美術館の入館料が安いこと。日本の入館料はいつの間にか高くなってた。
Q2:韓国のアトリエ事情って?
韓国で借りている堀越さんのアトリエの様子
前田:韓国で使用しているアトリエはどうやって探したの?
堀越:今のアトリエは韓国に来てからずっと使っていて、アトリエメンバーを募集する専用のサイトで見つけた。ソウルにある共同アトリエなんだけど、オーナーがメンバーの交流を活発にしたいらしくて、壁は低めに作られてる。今のメンバーは全員で9人。入れ替わりが激しくて、大学の卒業とか兵役とかで半年に一回は違う人がくる。一人当たり4m×5mくらいで狭いけど家賃は高い。ソウルの郊外に行けばもっと安くて広くなるらしい。
前田:アトリエのメンバーには、どんな作家がいるの?
堀越:自分以外にはペインティングの人が5人いて、他には写真や、陶芸や、映像作品など。20代~30代前半が多くて、大学生が半分以上。他の人は作家をしつつ働いてる。
前田:へー、大学生もいるんだ。たしかに、アトリエはソウル市の中でも美術が有名な弘益大学の街「ホンデ」にあるよね。
堀越:大学生がいるのは珍しいと思ってたけど、この前、韓国の大学(ソウル大学、弘益大学、成均館大学、ソウル科学技術大学、韓国芸術総合学校)の制作場所を案内してもらった時に、高学年は広かったけど1、2年生のアトリエは狭めで、イーゼル一つとパーテーションが使えるくらい。もちろん人によっては広い場所はいらないと思うけど、大学生も課題や展示準備をするために借りてるのだろうと思う。
前田:アトリエではどんな作品を制作している人が多いの?
堀越:制作方法や主題はそれぞれだけど、絵画に限って言えばキャンバスを手作りしたり、下地にこだわる人は見たことがなくて、既製品を使う作家が多いかも。そんなDIYよりも、内容や主題が大切だ!みたいな雰囲気と勢いがある。だから、ここのメンバーは「これどうやったんだ?!」って思わせたり、技術的な面白さは求めてないのだろうなと思ったりもする。
前田:そうなんだ。堀越さんは韓国で美術塾で講師もやっていたこともあるけれど塾講師で生計を立てる作家も多いの?
堀越:知り合いの作家は、古い家をリノベーションして、そこで絵画教室などをやって生計を立てている。そんなふうにして、美術の先生もやっている作家が多い。韓国の美大受験は大変だから需要があるのだろうと思う。
Q3:韓国のアートスポットを教えて
前田:韓国でいいなと思うギャラリーや美術館について教えて欲しい。
堀越:〈リウム美術館〉は古美術と、近代から現代までの作品の充実度がすごい。
〈ソウル市立美術館〉はキキ・スミスとかエドワード・ホッパーとか企画展がいい。安国(アングク)周辺はギャラリー、美術館が多くてよく行く。特に〈Hakgojaeギャラリー〉(ハッコジェ)は絵画の展示が多くて、ギャラリー奥の広い空間の使い方に作家の個性がでるのも面白い。〈アートソンジェセンター〉は現代の作家がジャンル関係なく展示されてて勉強になる。
あと済州島にある〈アラリオミュージアム〉は、ジグマー・ポルケとかアンゼルム・キーファーとかのコレクションがたくさんあって見応えがある。
前田:私もリウム美術館とソウル市立美術館は好きでいつもチェックしてる。ただ若者にものすごく人気だからチケット取るのが大変だったなあ。
〈リウム美術館〉のアニッシュ・カプーアの彫刻作品
〈リウム美術館〉のマウリツィオ・カテランの作品
Q4:日本のアートシーンとの関わりは?
前田:日本のアートやカルチャーが、韓国のアートに影響を与えているなと思ったことはある? 私はこちらに来て、想像していた以上に日本のアニメや小説が人気でびっくりした。音楽も日本のものが街中で流れていて、衝撃を受けた。
堀越:日本のカルチャーやアートも多面的だから、どこを切り取るかにもよるけれど、日本のアニメや漫画は韓国でもとても人気がある。幼少期から、韓国で手がけられる作品よりも、日本のアニメを見てきていたり、今も見ている若い世代は多い。学生たちに理由を聞いたところ、韓国のアニメは子供を対象とした作品が多いかららしい。他にもサンリオとか任天堂のキャラクターたちの人気もすごくて、高校生でも詳しい子は多い。
もちろん絵画でもキャラクターとかアニメの要素を引用してる作品は見るけど、それくらいしか明確な影響は言いきれないかな。韓国でビエンナーレを見ても日本人っていう属性に期待されて呼ばれている作家もいれば、そうではない文脈で紹介されている作家もいるように見えるから、何とも言えないところではある。
前田:日本のアートシーンと韓国のアートシーンの関わりなどを感じることはある?
堀越:実際の交流は日本と韓国のギャラリーの交流展があったりとか、日本の作家が韓国の大学で自作紹介とか技法研究のレクチャーをしているのをたまに見る。でもそれがどんな影響を持っていくのかはもう少し考えていけるといいなと思う。行き来しやすいといえどやはり遠さはあるから、郭仁植とか、李仲燮とか、作家としてお互いの国で活動していた人がいた時代のことを振り返る方が、影響について考えるなら面白いかも。
Q5:韓国の美大についても知りたい。
前田:韓国の美術学生や大学の様子はどんな感じ? 韓国は学歴社会だから受験が大変そうなイメージ。
堀越:韓国では仕事として美術塾で働いてたことがあって。それも日本の美術大学の受験を専門にしていた塾。今って一般入試よりも外国人入試の方が倍率が高くて、6倍7倍は普通で、高いところだと20倍とか。日本が好きとか、韓国の受験が大変とか理由は様々だけど、それくらい日本に留学をしたがっている韓国人は多い。それで、多くの学生は、高校と、日本語の塾と、美術予備校に同時に通う必要がある。早起きして高校に行って、高校を早退して日本語の塾で面接の練習して、その後美術塾でデッサンして、やっと家に帰るっていう生活をしてる。だから皆体調を崩しがちなんだけど、高校生はそれを1年続けるから本当にすごいなと思うし、本気度を感じる。
前田:大学生とは交流があったりする? 学内のアトリエとかはどんな感じなんだろう。
堀越:これはあくまでも印象だけど、アトリエは狭い。日本の美術大学と変わらない感じ。でも総合大学の中に美術学部があるケースが多いから、敷地はとても広いし、色々な分野の人と関わるには良さそう。あと、とある大学の大学院のアトリエを見たときにみんな似たような絵を描いてて、教授の抑圧を感じた。
前田:美術大学の様子って、日本とだいぶ違うの?
堀越:あんまり分からないけど、ホンデ(弘益大学)にはよくいく。画材屋の充実度がすごい。学食も美味しい。
前田:韓国では大学を卒業した後は、どんな感じでアーティスト活動を続けていくんだろう? 日本よりも活動しやすかったりする?
堀越:大学を出てからは日本と変わらないかも。予備校や高校の先生をしながらの作家活動が多いと思う。発表する場所とか空間自体は多いし、支援制度も充実していると思う。基本的には韓国人限定だけど、国が運営する助成金とか、韓国芸術人福祉財団っていう財団もあって、保険とか育児とか法律の相談もできるみたいだから作家を目指す人にとっては経済的にも精神的にも生きやすいかも。
あと修了するのに学外での個展が必要な大学院もあるみたいで、興味深かった。そういう「展示しましょう」みたいな圧というか約束があるからなのか、韓国で大学を出た人は、アートシーンにも適応しやすいのかなと思う。
Q6:韓国でアーティスト活動して感じたことを教えて
堀越さんが韓国に来てはじめて開催した展示「「ドライブ」(Gallery AnQ/韓国 水原)」の様子。ネットカフェの廃墟を展示スペースにして行われた
前田:こちらに来てからも、積極的に活動している印象だけれど、昨年末にやっていた個展「Look Back」(www space/韓国 ソウル)などは、どうやって開催まで持っていったの?
堀越:韓国に来てからは3回展示したけど、1回目は水原市のオルタナティブスペースで自主企画して、2回目は釜山、3回目はソウルの公募に応募した。
韓国に来て2年目の時に、作品を発表する方法を調べていたら、ギャラリーが主催する公募が多いことに気づいて何個か出してみたんだけど、全然合格しない。知り合いの作家に相談したら実績と経歴がないと難しいって聞いて、だから1回目は自分で何とかするしかないと......。
ちょうどその頃に美術塾で教えていた学生が廃墟みたいな場所を借りていて、その場所を頼み込んでホワイトキューブに改装して、4日間個展をした。駅から遠いし、カビとか虫とか大変だったけど、韓国で作品を見てもらえたのはとても良かった。
それでその時の記録とか企画書とか展示計画の図面をポートフォリオに入れ込んで、ようやく公募に通って、2回展示ができたという流れ。日本に比べたら圧倒的に公募の数は多いけど、誰がどんな基準で判断してるのか分からないことが多い。だからポートフォリオも企画書も公募によってたくさんブラッシュアップしたし、これからもしていかないと、と思っている。
前田:日本と韓国とでは、発表の仕方の違いなどは感じる?
堀越:「作家ノート」っていう作家が書いた文章が展示会場に置いてあったり、展示されていることが多い。実際に公募に出すときも提出必須なことが多いんだけど、内容は、作家のステイトメントとか、ポエムとか、制作のプロセスとかで、形式自体は自由。
作家ノート
正直に言えば、ステイトメントとか企画書と何が違うのか分からないんだけど、韓国では言葉が大切にされる気がする。作家ノートも、批評文もそう。これはとても当たり前のことだけど、作品だけじゃなくて、作家が何を考えているのかを、鑑賞者に伝える。そこに重きを置いてる感じがある。だから作家個人の言葉が、大切にされていると感じるのかもしれない。美術の文脈の中での位置付けだけでなくて、作家の超個人的な感覚とかも書かれてて、実際に作品を観た時の視覚的な体験以外のことをみんな何とか言葉で示しているように感じる。
自分が展示した時は、日本語を韓国語に翻訳してもらった。その時に共同作業みたいになったり、無理な修正が入ったり、言葉で言い切れないものが出てくるのは面白かった。
前田:お客さんはどんな人が観にくる?
堀越:ギャラリーによると思うけど、全然知らない高校生が来たり、ふらっと来る近所の人が多い。あと、韓国では作品を背景に自撮りしがち。それを何に使うのかはわからないけど。
堀越さんの韓国に来て2回目の展示「REFLECTION」(selahs gallery/韓国 釜山)の様子
Q7:韓国に移り住んで、作品にどんな影響が?
堀越さんの大学院時代の展示の様子
3回目の展示「Look Back」(www space/韓国 ソウル)の様子
前田:最後に。韓国に来たことで、何か自分の制作に影響があった?
堀越:韓国に来て制作が具体的になったと思う。具象的ってわけではなくて、何をしているかが具体的になった感覚。それは、公募に出すときに作家ノートとか説明が必要だと感じたからでもあるけど、仕事とか生活の影響もあると思う。
韓国に来た時はコロナの影響がすごく大きい時で、すぐに塾で先生として働くことになったんだけど苦労が多かった。コミュニケーションをとる職業なのに、韓国語が分からないし、マスクで表情も見えなかったりで学生との間合いが掴めない。何より外国人の先生としてきちんと仕事ができているのか、何しに韓国に来たのか、先生なのか作家なのかみたいな。まさにアイデンティティを問われてるような。
それから何ヶ月か40人くらいの高校生と関わるうちに、学生たちの“バラバラさ”に救われていることに気づいた。みんなの考えが違うことの当たり前さを知れたり、それを許すことができる職業だったのが良かったと思う。例えば高校、中学ならみんな似たような思考とか判断に導くと思うんだけど、塾だったし、外国人っていう曖昧な立場だったから、みんなの意見を聞いたりとか、言葉を深めることに集中できた。それは日本ではあまり感じ得なかった体験だったし、大きくてぼんやりした夢とか目標の裏の、個人的なエピソードにこそ豊かさがあることを知れたというか。
日本で絵を描くときは、近所の森の中で肌で感じられる感覚とかを描いてたんだけど、それって普遍的なものへの憧れだったと思う。皆が信じられるものってあるはずというか。でも先生をして、そういう抽象的なものの背景には、具体的な経験があるって思わされたし、自分もそんな具体的なものを描いてみたいと思うようになった。
それで今は仕事場の教室をよく描いてる。教室にはホワイトボードがあって、授業中はマーカーで話し方を指摘するために様々な言葉を書いたり。でも早めに出勤した日はホワイトボードに教室の風景をドローイングして、もちろんすぐに消すけど、写真撮ったりメモして、それをもとにキャンバスに描いてる。室内の空間を描くことへの興味とか、受験戦争への違和感とか、それでも合格して欲しいみたいな素朴な感情もあるからなんだけど。
アトリエでは同時に他の絵も描いていて、ドローイングとか、韓国で見た風景とか。家の前に流れている川が漢江(ハンガン)までつながっていたり、その水脈と広葉樹の葉脈が似てたりして。やっぱり自然はインスピレーションにはなる。あと今住んでいる地域では、観光地よりも曖昧な韓国語は通じないから、ジェスチャーや身ぶりが手っ取り早い。何かを指差したり、大きさを手で表現したり。それって、抽象絵画に初めて出会って真似てた身振りに似てるなとか。こんな感じで生活の中からも制作への影響はあったりする。
もちろん実際は教室の風景と韓国の生活で出会う風景は全然違うけど、絵として描くと何となく似てきてしまったりすることもある。それは手癖でもあるんだけど、先生としての自分と絵描きとしての自分の振動がある状態というか。それってどっち付かずで曖昧なものなんだけど、その往復の中で絵を描いてるところ。
《降り積もる乾燥した粉》1300×355mm oil on canvas (2022)
《Untitled》657×532mm oil on canvas (2022)
取材を終えて
2011年4月。
大学に入学して最初の授業は、例に漏れず自己紹介だった。
あいうえお順で座るように言われ、その時に隣の席だった彼のことを、私はよく覚えている。
どんなものを身に纏っていて、どんな自己紹介をしたのかも、ちゃんと思い出せる。
あれから12年ほどが経った。
大学在学中、専攻も卒業制作の担当教授も同じだった彼の作品を、私はいつも気にして観ていた。
描くことが生きること。
そんな人が同じ空間に居ることに、嬉しさを感じると同時に、自分にはないものに憧れた。
彼が大学院に進み、卒業するときの卒展も観に行った。
2023年4月。
韓国・ソウルにある、彼のアトリエを訪ねた。
大学生の頃、私は彼の話が聞きたくて、よく話しかけていたが、何だかうまく話すことができなかった。
彼とは、どうでもいい話さえ何だかうまくできず、かと言って絵の話を深くできるほど、私は絵に向き合い切れなかった。
やりたいことがふわふわとしていた当時の私は、何だか恥ずかしくて、変に萎縮していた。
時は経ち、今もぎこちなさはあったけれど、それぞれに今の制作についての話をした。私は文章を書くことについて話した。たのしかった。
****
今はどこの美大でもそうだと思うが(美大のみならずでしょうけれども)韓国人の留学生が多い。
私の学生時代の友人にも何人かいて、今でも仲が良く、今回の留学でもとても助けてもらっている。
いつか、日本にいる韓国人留学生の話も聞いてみたいし、好きなアーティストの話なども聞きたい。
もちろん、韓国の大学にも日本人留学生はいる。私の友人はこちらの大学でキュレーションを学んでいる。
知りたいこと、聞きたいことがまだまだたくさんあるなあと、今回の記事を書いていて、気持ちがどんどん膨らんでいる。
連載「前田エマの“アンニョン”韓国アート」
Vol.1 「なぜいま、韓国のアートなのか?」
Vol.2 「韓国映画のポスターを手掛ける『Propaganda』のアトリエへ」
Vol.3 「5・18、光州ビエンナーレへ」
Vol.4 「誰でも自分らしく居られる、アートの居場所へ」
Vol.5 「韓国在住の日本人アーティストのアトリエを訪ねて」
Vol.6「この半年間で体感した、韓国アートの熱さ」【最終回】
DOORS
前田エマ
アーティスト/モデル/文筆家
モデル。1992年神奈川県生まれ。東京造形大学を卒業。オーストリア ウィーン芸術アカデミーの留学経験を持ち、在学中から、モデル、エッセイ、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティなど幅広く活動。アート、映画、本にまつわるエッセイを雑誌やWEBで寄稿している。2022年、初の小説集『動物になる日』(ミシマ社)を上梓。
ARTIST
堀越宏太
アーティスト
1991年長野生まれ。2017年東京造形大学大学院を修了。2020年から韓国に渡り作家として活動。現在は日本語教師と画家を行き来しながら制作中。韓国で2022年に開催した展覧会として、「ドライブ」(Gallery AnQ/韓国 水原)、「REFLECTION 」(selahs gallery/韓国 釜山)、「Look Back」(www space/韓国 ソウル)。
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