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2023.07.28

アーティスト 田島治樹 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.20

Photo / Gyo Terauchi

独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、CGと手彩のハイブリッドな技法で未来の世界を描くアーティスト、田島治樹さんの背景に迫ります。 

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アーティスト 小野友美 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.19はこちら!

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アーティスト 小野友美 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.19

  • #アートテラー・とに〜 #連載

今回の作家:田島治樹

「バベルの塔」に象徴されるように数多くの作品(小説・映画・マンガ)に登場する建造物、構造物が現代社会を映すように、それらを表象することで警鐘またはその可能性を探っている。制作技法としては古くからある絵の具を用いて手で描く手法と、現代ならではの3DCG技術を用いたハイブリッドな技法を用いて現代から新たな未来への融合を試みている。

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《333》ジグレー・キャンバス・アクリル(蛍光色) , 530mmx530mm

 

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田島治樹さんに質問です。(とに〜)

葛飾北斎に歌川広重に川瀬巴水に東山魁夷に。
これまで多くの日本人作家が風景画の名作を生み出してきました。しかし、ここ近年、風景画を主に描くアーティストは減少傾向にあります。そんな中、彗星のごとく現れたのが、田島治樹さん。現代を・・・いや、SFチックな世界観の風景を描いているので、近未来を背負って立つ若きアーティストです。あまりに精緻な画風のため、全編フルCGかと思いきや、実は手彩で仕上げられているとのこと。それをわかった上で改めて観ても、手描きとは思えないほどの緻密さ。もしかしたら、田島さんは人間ではなく、近未来からやってきたサイボーグなのかも?!その真相を15の質問で明らかにします。

 

Q.01 作家を目指したきっかけは?
小さい時はものづくりが好きで、漠然と漫画家やイラストレーター、アニメーター、ゲームクリエイターなどに憧れ、クリエイティブ系の職業につけたらいいなと思い美術系の高校に進学したことがきっかけです。

 

Q.02 CGだけに頼らず、手彩にこだわる理由は何ですか?
もともと、洋画コース出身で、アナログで表現していたということもあり、アナログでしか伝わらない空気感、質感があると思っています。デジタルはデジタルのいいところ、アナログはアナログのいいところがあると考えています。そのどちらもが融合した現代の新たな表現ができたらと考えており、現在はデジタルとアナログのハイブリット技法に取り組んでいます。

「AIRCRAFT CARRIER」税込価格:226,600円

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AIRCRAFT CARRIER

 

Q.03 これまでに言われた絵の感想の中でもっとも印象に残っているものを教えてください。
作品を鑑賞していただいて、そこから音が聞こえてくると言われたことが印象に残っています。
作品の世界観を構築するにあたり、そこに登場する建築物がどのような温度や湿度、また、時間の設定などを考えていますが、音については考えたことがなかったのです。そういったものも感じ取っていただけたことを嬉しく思いました。自分の世界観を創造する時にも、とても有効な手段になると思います。

 

Q.04 田島さんの描く作品はすべて同じ世界線ですか?それとも、いくつかの世界に分かれていますか?
私が描く世界はいくつかの並行世界に分かれています。
最近流行の、マルチバースものの映画のような、いくつもの世界が同時並行で進んでいるような世界を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

 

Q.05 現在の建造物ではなく、未来の建造物を描く上でもっとも意識していることはなんですか?
未来の建造物を想像して描くというのは、SF小説と同様に、人間の可能性の提示や警鐘を鳴らすものだと考えています。私もそれらを描くことで人間の可能性を提示していきたいと考えています。それと同時に、シンプルに漫画、映画、ゲームなどに登場するような、美しかったり、かっこよかったり、切なかったりする建造物に心惹かれるところがあります。自分が描く世界でも多くの人にカッコよかったり、美しいと思ってもらったりするような世界を描いています。

「AFTER DREAM」税込価格:198,000円

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Q.06 実在する建造物の中で最も好きなものは何ですか?
黒川紀章さんの中銀カプセルタワービルは、ビジュアルのかっこよさと、その制作のコンセプトに惹かれるところがあります。いつか住んでみたかった(笑)

 

Q.07 人生の最後に観たいSF映画は何ですか?
映画「メッセージ」です。皆さんにぜひみてもらいたいので、まだみてない方は、ここからはネタバレとなってしまうので読まないでほしいです。気にしない方は読んでください。言語学者である主人公が、過去未来を全て見返せる能力がある異星人の言語を身につけたことにより、主人公も自身の人生を全て見通せる能力を身につけます。その能力自体が、ストーリーの魅力と、映像作品としてのトリックになっており、とても魅力的な作品になっていると思います。わたし自身は、その能力により未来を見通せてしまうことはとても怖いことだと感じるので、身につけたくはないのですが、人生の最後に自分の一生を振りかえるきっかけとなる映画なので最後にみたいSF映画です。

 

Q.08 職業病だなぁと思うことは?
街中で、かっこいい建物や廃墟、綺麗な夕焼けや空を見るとついスマホで写真を撮ってしまいます。ゲームや映画、動画などでもかっこいいシーンがあるとつい、スクリーンショットを撮ってしまう時もあります。

 

Q.09 アトリエの一番のこだわり or 自慢の作業道具など
デジタル作業で欠かせない液晶タブレットと、アナログの加筆作業で欠かせない蛍光色、偏光色の絵の具や顔料などです。

 

Q.10 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
様々なものから影響を受けていますが、弐瓶勉さんのBLAME!という漫画の影響が一番大きいと思います。

 

Q.11 世の中がどれだけ進化してもこれだけは出来れば変わらないでほしいというものは何ですか?
人間の感情。SF作品などで感情を完全にコントロールしている世界が描かれていることがありますが、それはもう人間の世界と呼べないのではないかと考えますので、人間が人間であるために感情は変わらないでほしいです。

 

Q.12 最近した「いい買い物」を教えてください。
PCのハードケース。これで外でもPCを安全に持ち運べます。最近壊して、修理に出したもので…。

 

Q.13 もし、ゲームの世界に入れるとしたら入ってみたいゲームは何ですか?
アーマード・コアというゲームで操縦士になってみたいです!ロボットを操作してみたい!!

 

Q.14 ドラえもんのひみつ道具で1つだけ選べるなら何にしますか?
どこでもドアです。飲み会の後にすぐに家に帰れるのは良いですね(笑)
行ったことのない、いろいろな世界にも行ってみたいです。

 

Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
1日中動画ストリーミングサービスやゲーム、漫画を見ている人。
今とあまり変わらないか…(笑)

作品同様に、アンケートのご回答をみっちりと書き込んで頂きありがとうございました!
確かに、世の中がどれだけ進化しても、人間の感情は変わらないでほしいものですね。人間の感情を揺さぶることが、美術の一つの役割だと思っています。美術が無くならない限り、人間の感情は変わらないはず。是非、そのためにもこれからも素敵な作品を作り続けて頂けましたら。
次に田島さんの絵画を拝見する際には、目だけでなく、耳や肌でも作品世界を味わいたいと思います。
どこでもドアがあればすぐに展覧会の会場に行けるのですが。まだ発明されていないので、ちゃんと足を運びます。

Information
今後の展示スケジュール一覧

One Time One Art

■会期
2023年9月27日(水)→10月10日(火) ※最終日は20時閉場
※EC販売は最終日17時までとなります。

■会場
大丸梅田店 1階 東 イベントスペース
〒530-8202 大阪府大阪市北区梅田3丁目1−1

※一部作品は店頭限定販売となりますのでご了承ください。

■入場
  無料

詳しくはこちら

作家のアイデンティティ_バナー

ARTIST

田島治樹

アーティスト

1︎988年 埼玉県生まれ。東北芸術工科大学 大学院 芸術文化洋画 領域修了。 「バベルの塔」に象徴されるように数多くの作品(小説・映画・マンガ)に登場する建造物、構造物が現代社会を映すように、それらを表象することで警鐘またはその可能性を探っている。制作技法としては古くからある絵の具を用いて手で描く手法と、現代ならではの3DCG技術を用いたハイブリッドな技法を用いて現代から新たな未来への融合を試みている。

DOORS

アートテラー・とに~

アートテラー

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館) 

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