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2025.03.05

抽象絵画の先駆者、ヒルマ・アフ・クリントの大回顧展から、ロエベの大型展覧会まで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2025年3月編

Text & Edit / Daisuke Watanuki
Illustration / Nao Sakamoto

たくさんの展覧会やイベントの中から、絶対に行くべきアートスポットを編集部が厳選! 毎月のおすすめをピックアップしてご紹介します。
今月はヒルマ・アフ・クリントの、アジア初の大回顧展が東京国立近代美術館で開催。原宿では、ロエベのファッションに対する前衛的なアプローチとクラフト文化を紹介する世界巡回展がスタート。

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アイドル・和田彩花さんと抽象絵画を学ぶ!

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抽象画、どう世界に広まった? / 連載「和田彩花のHow to become the DOORS Season2 もっと知りたいアート!」Vol.1

  • #和田彩花 #連載

「ヒルマ・アフ・クリント展」(東京国立近代美術館・東京)

ヒルマ・アフ・クリント 《10の最大物,グループIV,No. 3,青年期》 1907年 テンペラ・紙(キャンバスに貼付) 321×240cm ヒルマ・アフ・クリント財団 By courtesy of The Hilma af Klint Foundation

抽象絵画の先駆者であるヒルマ・アフ・クリントの、アジア初となる大回顧展。スウェーデン出身の画家ヒルマ・アフ・クリントは、ワシリー・カンディンスキーやピート・モンドリアンら同時代のアーティストに先駆けて抽象絵画を創案したとして、近年再評価されている画家。本展では、高さ3mを超える10点組の絵画〈10の最大物〉をはじめ、すべて初来日となる作品約140点が出品。画家が残した資料や、同時代の神秘主義思想や女性運動といった多様な制作の源の紹介をまじえ、その画業の全貌をひもときます。

ヒルマ・アフ・クリント 《10の最大物,グループIV,No. 7,成人期》 1907年 テンペラ紙(キャンバスに貼付) 315×235cm ヒルマ・アフ・クリント財団 By courtesy of The Hilma af Klint Foundation

会期:2025年3月4日(火)〜6月15日(日)
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
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先月紹介のイベントもまだまだ楽しめる!

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最新テクノロジーを体感できる現代アート展から、横浜美術館リニューアルオープン記念展まで / 編集部が今月、これに行きたい アート備忘録 2025年2月編

  • #連載 #展覧会 #アート備忘録

「VOCA展2025 現代美術の展望 —新しい平面の作家たち」(上野の森美術館・東京)

VOCA賞 宮本 華子《在る家の日常》

全国の美術館学芸員、研究者などに40歳以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方法で、毎年全国各地から未知の優れた才能を紹介している現代美術展。32回目となる本展に出品するのは、これからを期待される新進気鋭の作家23組(24名)。この中から、グランプリとなるVOCA賞には、宮本華子の《在る家の日常》に決定したほか、 VOCA奨励賞には諫山元貴、小林万里子、VOCA佳作賞には鮫島ゆい、𠮷田芙希子の作品が選出。期待の若手作家の作品がお披露目されます。

VOCA奨励賞 小林 万里子 《The Five Domains》

会期:2025年3月15日(土)〜3月30日(日)
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
公式サイトはこちら


「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」(国立新美術館・東京)

フランク・ゲーリー フランク&ベルタ・ゲーリー邸 1978年 Ⓒ Frank O. Gehry. Getty Research Institute, Los Angeles(2017.M.66)

今から100年ほど前、実験的な試みとして始まった住まいのモダニティは、人々の日常へと浸透し、かたちを変えて今も息づいている。本展は20世紀にはじまった住宅をめぐる革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考。ル・コルビュジエ、フランク・ゲーリーらの傑作14邸を中心に、20世紀の住まいの実験を、写真や図面、スケッチ、模型、家具、テキスタイル、食器、雑誌やグラフィックなどを通じて多角的に検証します。

藤井厚二 聴竹居 1928年 撮影: 古川泰造

会期:2025年3月19日(水)〜6月30日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E/2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
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江口綾音「絵具のコスモス」(ミヅマアートギャラリー・東京)

デイジー / Daisies 41.4 x 41.3 cm 2024 キャンバスに油彩 / Oil on canvas Photo by MIYAJIMA Kei Courtesy of Mizuma Art Gallery

江口綾音はこの世界に存在する愛らしさと不気味さ、生と死という言語的に相反するそれらの調和を見つめ独自の絵画世界を築き上げている作家。本展では、ミルフルール(千花模様)から着想を得た新作を中心に構成。「コスモスは『秩序』という意味合いで宇宙を表すそうだが、宇宙には『カオス』の側面もあるという。そのふたつの言葉が正反対の意味を持ちながらも同じ『宇宙』を表すのだから、花畑を描くのも人間を描くのもクマを描くのも同じことなのかもしれない。私は宇宙を描くように身近な花を描いた」と作家談。

絵具のコスモス / Cosmos of color 181.9 x 227.4 cm 2025 キャンバスに油彩 / Oil on canvas Photo by MIYAJIMA Kei Courtesy of Mizuma Art Gallery

会期:20252月26日(水)〜3月29日(土)
会場:ミヅマアートギャラリー
住所:東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル 2F
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内藤礼「breath」(タカ・イシイギャラリー 京橋・東京)

内藤礼 《母型》 2023年 水、ガラス 神奈川県立近代美術館 葉山館 「内藤礼 すべて動物は、世界の内に ちょうど水の中に水があるように存在している 2022」展展示風景 写真:畠山直哉 Courtesy of Taka Ishii Gallery

タカ・イシイギャラリー 六本木で始まった同展が、京橋でもスタート。空気、水など自然がもたらす事象を通して「地上の生の光景」を見出す空間作品を生み出してきた内藤礼。本展の制作中、内藤は白い画面を「母型」空間として感じるようになったそう。こうして生まれた絵画は、生と死を分けられないものとする水や水路、鏡の立体の作品群と一つの空間を生成し、私たちをとりまく事物(物、人、動物、植物、大気、光)や、死者、未生の者たちが、私たちの生(呼吸)と切り離せないほど親密な関係を織りなしていることを浮き彫りにします。

内藤礼《タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)》 2023年 水、ステンレスに塗装 ミュンヘン州立版画素描館「breath」展展示風景 写真:畠山直哉 Courtesy of Taka Ishii Gallery

会期:2025年3月1日(土)〜3月29日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー 京橋
住所:東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 3F

同時開催

会期:2025年2月15日(土)〜3月29日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー 六本木
住所:東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F
公式
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加藤泉インタビューもチェック!

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【前編】めくるめくヴィンテージプラモデルの世界 / 連載「作家のB面」Vol.9 加藤泉

  • #連載

「加藤泉×千總:絵と着物」(千總ギャラリー・京都)

©︎2024 Izumi Kato ×CHISO

京都・烏丸三条に創業した京友禅着物の老舗・千總は2025年で470周年。節目となる今年、原始的で匿名的な生命体を主なモチーフとして、有機的なフォルムを特徴とする油彩画や木彫を制作する現代美術家の加藤泉と共同制作した作品を展示します。中でも着物の形をとった作品は、加藤によるスケッチをもとに、⽷⽬友禅や描き友禅、絞り染め、刺繍、仕⽴てまで、20から30にもおよぶ伝統的な⼯程を経て制作され、京都在住の専⾨職⼈たち20名以上のチームワークによってようやく完成したもの。製品化されなかった⽣地を使⽤したアート作品も展⽰予定。

©︎2024 Izumi Kato ×CHISO

会期:20252月27日(木)〜9月2日(火)
会場:千總ギャラリー
住所:京都府京都市中京区御倉町80 千總本社ビル2F
公式サイトはこちら


「ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界」特設会場(原宿・東京)

ロエベ 2024秋冬ウィメンズ ランウェイコレクション銀箔仕上げの手彫りウォルナット材襟付きコート(カシミヤ)ロエベ アーカイブ

ロエベ初の大型展覧会である同展。ロエベのファッションに対する前衛的なアプローチと世代を超えて受け継がれるクラフトの文化を紹介する展示で、2024年に上海から始まった巡回展が、この春いよいよ東京・原宿で開催。来場者はスペインの風景と音を感じ、パリのランウェイの最前列を体験。そして壮大でインタラクティブな部屋の数々では、スタジオジブリや京都の陶芸ユニットのスナ・フジタをはじめ、近年のロエベのコレクションにインスピレーションを与えた想像力の世界へと誘います。

ビヨンセが2023年のルネッサンス・ワールド・ツアーで着用したロエベのカスタムウェア:ロエベ2022秋冬ウィメンズコレクションを着想源に全面に散りばめられたゴールドクリスタル、錯視効果を演出する手のモチーフ、ブラックラバーラテックスグローブで装飾されたサテンテクニカルジャージーのボディスーツ レプリカ ロエベ アーカイブ

会期:2025年3月29日(土)〜 5月11日(日)
住所:東京都渋⾕区神宮前6-35-6
入場無料(予約制)
公式
サイトはこちら

 

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