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2023.05.12

連載「作家のアイデンティティ」Vol.16 / 美術家 斉藤幹男 編

Photo / Takuma Kunieda

独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、手描きの絵によるアニメーション、写真、CGなど様々な種類のイメージを組み合わせ、中毒性のある作品を制作している美術家、斉藤幹男さんの背景に迫ります。

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画家 奥村彰一 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.15 はこちら!

画家 奥村彰一 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.15 はこちら!

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画家 奥村彰一 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.15

  • #アートテラー・とに〜 #連載

今回の作家:斉藤幹男

2002年、フランクフルトのシュテーデル美術大学に入学。2007年に卒業、マイスターシューラーを取得。2009年より札幌を拠点とし、アニメーション、実写、CGなど様々な種類のイメージを組み合わせた映像作品や、立体オブジェなどの作品を制作し国内外で発表している。ワークショップ形式での市民参加型の作品制作や、地域や学校に滞在する形でのアートプロジェクトも多く行っている。

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《The Fish Cloudless》
FRP、800(h) x 2500(w) x 600(d) mm、
麓湖・A4美術館(成都、中国)、2020年

 

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斉藤幹男さんに質問です。(とに〜)

雪だるまを割って中身が何なのかをひたすら確かめる手描きアニメーションや、コアラが鋤の柄に顔を打ちつけてしまうのがひたすら繰り返させられるCGアニメーションなど、シュールで謎の中毒性のある映像作品を制作している斉藤幹男さんとは一体どんな人物なのか?お会いしたことはないので、ググったところ、(おそらく)東南アジアのスイカが大量に並ぶ店先で、ピンクの傘を差し無表情で画面のこちらを見つめるプロフィール写真がヒットしました。プロフィール写真からして謎多き人物です。
15の質問が斉藤さんのことを少しでも知れる手がかりとなりますように。

 

Q.01 作家を目指したきっかけは?
ドイツの美大の学内展で作品を発表した時に、ギャラリストから展示の話をもらったこと。

 

Q.02 プロフィールにある「マイスターシューラー」って何ですか?
「マイスターシューラー」は、ドイツの芸術大学で授与される学位のことです。

 

Q.03 映像作品を作る上でもっともこだわっている部分はどこですか?
技術的にもアイデア的にも、これなら自分でも作れる、作ってみたいと思われるものを作る。

 

Q.04 映像作品に明確なオチをあえて付けていないように感じました。その狙いは何ですか?
映像作品は、絵画や立体などの作品と違って見る人の時間の自由を制限してしまうのが不便な点だと思っていて、それならばどこから見ても良くて、どこで見るのをやめてもいいようなループする映像にしようと思い、そのためオチや起承転結みたいなものがないのかもしれないです。

 

Q.05 映像を作るのであれば映画やテレビの世界に進むという選択肢もありますが、美術の世界で映像を作るのはなぜですか?
美術館で見た初めての映像作品がオノ・ヨーコの「smile」という作品で、1時間近くジョン・レノンの笑顔をスローモーションで再生する映像でした。映画やテレビでは見たことのない映像で、美術の世界にはこんなものがあるのかと思ったし、こういう発想で作品を作るのは自分でもやってみたいと思ったからです。

 

Q.06 アナログとデジタル、それぞれの良さって何ですか?
アナログの良さは重さを感じさせるところ、デジタルは軽さを感じさせるところ。

 

Q.07 これまでのワークショップで子どもが生み出した作品や発想で、最も脱帽したものは何ですか?
札幌の小学校で行った上靴を作るワークショップで、スポンジや発泡スチロールなどを素材にした奇抜すぎて全然履けなさそうな靴ばかりができたんだけど、意外とちゃんと履けたこと。

 

Q.08 今までで一番思い出深いワークショップは何ですか?
コロナ禍に中国の人たちとzoomで行ったワークショップなんですけど、ガムを噛んで手を使わずに口の中でガムを魚の形にするということをしたら、難しすぎて誰もできませんでした。

 

Q.09 職業病だなぁと思うことは?
沢山のアート作品を一度に見ると疲れる。

 

Q.10 アトリエの一番のこだわり or 自慢の作業道具など
自分が作品を作る際に行う主な活動は考えることで、特に熟練した職人ではないので、アトリエもないし作業道具も決まったものはありません。常にあるのは、A4のコピー用紙とボールペンです。

 

Q.11 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
大学生時代にバイトしていた南青山の喫茶店Goro。

 

Q.12 これまでの自分の人生の中でもっとも想い出のある曲は何ですか?
ドンキホーテのテーマ曲

 

Q.13 好きなお笑いは?(芸人に限らず、ギャグ漫画でもコメディ映画でも可)
シンプソンズとフューチュラマ

 

Q.14 地元民だから知る北海道に来たなら「これを食べて欲しい!」「ここに行って欲しい!」というものを教えてください。
焼鳥じゃんぼのにらつくね、鳥のきんちゃんの新子焼き

 

Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
撮影かプリントの仕事。

 

“自分でも作れる、作ってみたいと思われる”
“どこから見ても良くて、どこで見るのをやめてもいいような”
映画やテレビといった映像コンテンツと、斉藤さんの映像作品の決定的な違いは、この言葉に集約されているのがよくわかりました。
他にも、海外のコメディアニメや焼き鳥がお好きなことなど、謎多き斉藤さんの素顔を少し知れた気がします。が、しかし、人生でもっとも思い出のある曲がなぜ『ドンキホーテのテーマ曲』なのか?新たな謎も生まれてしまいました。
その答えもついでに教えてもらうべく、いつかワークショップに参加させてくださいませ。とりあえず口の中でガムを魚の形にできるよう練習しておきます。

information
今後の展示スケジュール

SIGNS OF A NEW CULTURE vol.14
会期
2023年5月31日(水)〜6月6日(火) 
※最終日は20時閉場
■会場
大丸札幌店1階 イベントスペース
〒060-0005 北海道札幌市中央区北5条西4丁目7
■入場
無料

詳しくはこちら

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作家のアイデンティティ_バナー

ARTIST

斉藤幹男

美術家

1978年札幌市生まれ。2002年、フランクフルトのシュテーデル美術大学に入学。2007年に卒業、マイスターシューラーを取得。2009年より札幌を拠点とし、アニメーション、実写、CGなど様々な種類のイメージを組み合わせた映像作品や、立体オブジェなどの作品を制作し国内外で発表している。ワークショップ形式での市民参加型の作品制作や、地域や学校に滞在する形でのアートプロジェクトも多く行っている。

DOORS

アートテラー・とに~

アートテラー

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館) 

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